桑野神社の境内にある「白蛇の模様が浮き出た盤持ち石」

 桑野神社の境内には、特別な石「盤持ち石(ばんもちいし)」が3つ、台の上に大切に保存されています。この石たちは、昔の人々が「力比べ」を楽しむために使っていたものです。

明治から大正初期にかけて、神社の境内や村の集まりで、重い石を持ち上げて力を競う「盤持ち石」や「力石」の大会がよく行われていました。これは、青年団や地域の行事として行われ、生活の一部になっていたのです。

もともとは、この石を持ち上げることで吉凶を占ったり、願いごとの成就を祈ったりする風習から始まったとされています。その後、次第に力試しの道具として使われるようになり、石や米俵を担げることが、立派な若者、いわゆる「一人前の男」として認められる証にもなっていきました。

昭和の時代になると、この「盤持ち」の文化は少しずつ衰退し、石が失われてしまう場所も多かったのですが、桑野神社では今でも3つの石が残されています。そのうちの1つには、白蛇が巻き付いているような、長い蛇紋が浮き出ています。おそらく、桑野神社の創建の故事の白蛇にちなみ境内にあったこの石を盤持ち石として使い、行事がなくなったあとも残したものと思われます。

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